今飲んでいるお薬
私は精神科クリニックでお薬を処方してもらっています。
コンサータはADHDのお薬、エビリファイは感情をフラットにするお薬、ベルソムラはぐっすり眠るためのお薬です。
診断されたのは成人になってから。子供たちの診断がきっかけでした。
私が薬を飲むのは、発達障害による日常生活が上手くいかなくなってしまう特性を抑え、二次障害による苦しい症状を抑えて、普通の生活を送るためです。
薬が無ければどうなるか。
私の脳は、刺激の選択ができません。必要な情報だけを選んで取り込む機能がありません。
例えば聴覚の場合。
誰かと一緒に電車に乗ったとして。すぐ隣にいる人とも会話することが難しいです。
私の耳は、電車内に溢れる全ての音を拾います。
機械の音や金属音、人の話し声、足音など。
すぐそばにいる人に話しかけられても、こちらを向いて口をパクパクさせているようにしか見えません。
電車だけではなく、ざわざわしている場所では全てそんな状態です。
大きな音も、そのまま耳に飛び込んできます。
脳が震えるような衝撃があります。
視覚も同様です。光や色は頭にダイレクトに刺さるような感覚で飛び込んできます。
眼に映るもの全てに反応して頭の中がとても忙しくなり、ぐったりと疲れます。
お薬の効果の一つに、脳のフィルター効果というのがあります。
薬が効いてくると、音や光などの日常どこにでも溢れている、けれど私にとって耐え難い刺激をフィルターをかけるようにカットしてくれます。
初めて薬の効果を実感したときは衝撃でした。
ざわざわしたところで話ができる。BGMがかかっている場所で、音楽が気にならない。大きな音や光が頭に刺さらない。カラフルなものを見ても気持ち悪くならない。
街に出ても寝込んだりするほど疲れることもありません。
リビングで家族とテレビを見ることも苦痛ではなくなりました。
これが普通の生活なんだ。
改めて思いました。
刺激をたくさん取り込んでしまうのに、それを処理する能力が弱く、すぐにキャパオーバーになってしまいます。
そして疲れ果ててダウン。この繰り返しでした。
いつも具合が悪くて、何かするとすぐ疲れてしまいます。
頭の中は霧がかかったような感じで考えもまとまらず、何か思いついてもすぐ霧の中に隠れてしまって思い出せなくなってしまいます。
毎日身体はぐったり、頭の中はもやもやして、何かしていても上の空で集中できません。常に眠気もあります。
私は何て役に立たない駄目な人間なのだろうと思っていました。
コンサータという薬は、この頭の中の霧を消してくれる薬でした。
この薬は効き目がはっきりしています。私の場合、飲んで一時間ほどでいきなり頭の中がすっきりして、何だか視界がクリアになります。
今まで平面的にしか見えてなかったのがいきなり立体的になる感じです。
頭の中のすっきり感は、濃いコーヒーを飲んだ時の感じに近いと思います。
そしてその日やらなければならないことが頭に浮かび、どうすればそのタスクを処理できるかまで思いつきます。
薬の効果でキャパを広げ、タスクを処理できるようになっているのですね。
タスクといっても大したことではありません。
毎日の家事や出かける用事などです。
そんな事でもどうしていいかわからなくなるのが私が持っている障害です
私が薬を飲んで得られたものは何か。
朝起きて家事をし、出かける用事をすませて、夕方には食事を作り、家族と夕飯を食べて入浴して夜はぐっすり休む。
空き時間があれば自分の好きなことをする。
普通の生活です。
特別なことはできなくていいから、普通の生活ができればいいなあ。
ずっとそう思っていました。
薬で障害は治りません。薬を飲まなければまた特性が強くでるでしょう。
薬を飲んでも完全に特性や症状が消えるわけではありません。どうしようもない事も、ADHDの特性丸出しの失敗もあります。
でも、薬を飲んでいる限り、私は自分のことを役に立たない駄目な人間だと思わなくてすんでいます。
人間らしい生活ができています。
今はそれで十分です。
最近は薬の調整が上手くいかなくて、思うように自分を動かすことができていませんでした。
先日の通院で薬の量の調整をしたら、ようやく私の適正な量になったらしく、家事をして、こうして記事を書く意欲もでてきました。
ぐったりした毎日ではなく、また活動的な自分を取り戻して、少しずつでも自分の好きなことに取り組みたいと思います。
口唇裂の再手術
14年前のこと。
次男を出産した際、分娩台の上で最初に言われた言葉は、おめでとうございますでも元気な男の子ですでもなく、口唇裂があります、という言葉でした。
は?
出産を終えたばかりで声もまともに出せない状態です。
コウシンレツ?
初めて聞いた言葉でした。
黙っている私に、医師は更に説明を続けます。
唇の端が少し切れている状態です。手術が必要かどうかはまだわかりません。
手術?
確かこの後、この病気が発生する割合などについて早口で説明され、こくりと頷いたところで次男の顔を初めて見せてもらいました。
産まれたての、可愛らしい顔にしか見えませんでした。
出産後、部屋で休んでいる私のもとへ、次男を取り上げてくれた助産師さんが来てくださいました。
赤ちゃん、新生児室で外から見えてもいいですか?と聞かれました。
意味がわかりませんでした。
その病院の新生児室はガラス張りになっていて、誰でも赤ちゃんを眺めることができるようになっています。
助産師さんは、口唇裂の次男の顔を他人に見られないようにしましょうか?と言いに来られたのです。
私はまだ次男の顔をまともに見ていない状態でした。
構いませんというと、すみません、口唇裂だと気にされるお母さんもいるので皆さんに確認してるんです、と言って出ていかれました。
これからどうなっていくのか、胸の内は不安で一杯でした。
口唇裂とは、唇が鼻の下まで裂けた状態で生まれてくる病気です。
片側だったり、両側だったり。
裂けている長さも様々で、口唇口蓋裂といって口腔内と鼻腔がつながってしまっているケースもあります。
口蓋裂単独のケースもあるようです。
次男の場合はごく軽度の片側口唇裂との診断でした。
次男は生後四ヶ月で口唇形成術という手術を大学病院の口腔外科で受けることになりました。
小さな口元にメスを入れると思うと、それはそれは恐ろしかったです。
包丁で肉や魚を刻むときに、イヤなイメージが頭に浮かんで、鳥肌が立つほどの恐怖感を覚えました。
授乳はどうするんだろうか。発語は?摂食は?
不安との戦いの日々。
私が不安に負ければ、子供達まで不安にのまれてしまいます。
次男の顔を見ながら、毎日大丈夫だ、上手くいくはずだと自分を奮い立たせていました。
幸いにして手術はとても上手くいって、次男はきれいな唇を作ってもらうことができました。
授乳や摂食や発語も問題ありませんでした。
そして時は流れて、中学に入学した年の大学病院での定期検診の時。
いつもの様にドクターがじゃあ今年も手術はしなくていいね?というと、次男は突然、いえ、します、と。
え?
私は開いた口が塞がらないような状態になりました。
今まで全くその様な事を言って無かったのに、一年に一回の定期検診で、診察室の中でいきなり手術をすると言い出したのです。
聞けば、友達から唇の傷痕が何かと聞かれる事が多くなってきたそうで。
今よりも目立たないようにする事ができるなら、そうしたいと言うのです。
そうか、それならそうしようかと。
二度目の手術は翌年、中二の夏休みに受ける事になりました。
そして今年の8月。
夏休みを利用して、十一日間の入院を伴う手術を受けました。
結果をいえば大成功で、元々さほど目立たなかった口唇の傷痕がきれいに修整されて、全く目立たなくなりました。
次男は入院前、学校の友達に手術の事を話さなかったそうです。
でも、術後一週間で退院して翌日の始業式の為に登校しても、誰も次男が再手術をした事に気が付かなかったそうです。
術後一週間で、そこまで傷口が目立たなくなるのですね。
術後の経過も順調でした。
全身麻酔での手術だったのですが、次男は手術当日の夕食をほぼ完食してスタッフを驚かせました。
そのまま大きく体調を崩す事はありませんでした。
次男が最初の手術を受けてから、もう一度手術をするか、しないか。
ずっと頭の隅に引っかかっていました。
18歳までの手術ならば医療費の補助を受ける事ができるのです。
18歳という期限が迫るにつれて、どうしようかと頭を悩ませる日々。
そこに次男自身があっさりと決着をつけてくれました。
今の技術は素晴らしいです。
私の不安など吹き飛ばすハイレベルな医療を受ける事ができました。
そして、その次男の心意気に高い技術と細やかなケアで応えてくださった病院のスタッフの皆さんに心から感謝致します。
この病気は発症頻度の割合が高いのに、はっきりした原因はわからないままなのだそうです。
原因がわかったとしても、発症するのはまだ妊娠に気付かないくらいの早い段階なのだそうで、防ぐ事は難しいと思われます。
顔面に傷痕が残るので一目瞭然、隠そうとする事すらできません。
心無い言葉で当事者や御家族を傷付ける事が無いように、より多くの方にご理解頂ける事を願います。
こだわりとの戦い〜お弁当編
独身で会社勤めをしていた頃は、毎朝お弁当を作って通勤していました。
9月1日を前に
「図書館に居る子を見逃せない」と思った方へ - スズコ、考える。
ADHDは生活習慣病になりやすい
今年の3月に、年に一度の健康診断を受けました。
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私の読み書き困難
もう何年も前の事です。