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運動会ストレス~発達障害特性から

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fumikichi2525.hatenablog.com

 先日のこの記事の中で、以前、長男が運動会のストレスのために転換性障害の症状が出たことに触れました。

長男は運動が得意です。

かけっこで人の後ろを走っている姿を見ることはあまりないです。

小学校の頃は選抜リレーの選手に選ばれたこともあります。

ボールを投げる動作が苦手ですが、それ以外の運動は上手くこなします。

では、何故、腕が動かなくなるほどのストレスを運動会に感じてしまうのでしょうか。

 

発達障害特性の一つに、感覚過敏というものがあります。

読んで字のごとく、感覚が普通の人よりも過敏なのです。

私にも、聴覚過敏と視覚過敏があることを、医療機関の検査で指摘されました。

どういうものかといえば。

大きな音は痛覚を刺激します。

普通の人でも、耳元で思いっきりシンバルを鳴らされたりしたら、耳に痛みを感じるのではないでしょうか。

私の場合、車のクラクションでもそうなります。

テレビの音、食器がカチャカチャいう音、店舗の館内放送、車のエンジン音、換気扇の音。

人の怒鳴り声、叫び声。

生活の中のあらゆる音が、耳から頭の奥に突き刺さる刺激になります。

音が無秩序に混ざり合っているのも、耐え難い刺激です。

スーパーなどは音の洪水で耐えられないので、できるだけ行かないようにしています。

刺激が強いと消耗するんですよね。

音の洪水にさらされた後は、ぐったりと疲れ果てて何もできなくなります。

以前はショッピングモールに行っただけで寝込んだりしてました。

もう一つ困ったことが、ざわざわした中で必要な音を聞き分けられないことです。

例えば電車の中だと、すぐ隣に座っている人の話でも、耳のそばで喋ってもらわないと全く聞き取れません。

学生時代はざわざわした休み時間の教室で、友人たちの雑談の声が聞き取れなくて辛かったことをよく覚えています。

何度も耳鼻科で検査をしてもらいましたが、聴力は正常でした。

音と同じ様に、光や色も強い刺激になります。

夜のコンビニやガソリンスタンドの明かりは眩しくてくらくらします。

晴れた日の日光は目の奥にしみるような感覚です。

解像度の高いモニターで映像をみると、気持ち悪くなります。

それらの刺激をそのままにしていると、まともに生活できません。

しょっちゅう寝込まないといけなくなります。

お薬を使ったり、工夫してどうにか乗り切っています。

こんな道具を使うこともあります。

 

 これは、私が実際に使っているイヤーマフです。音を遮断してくれます。

私は使っていませんが、こんなものも。

 

キングジム デジタル耳せん   MM1000 ホワイト

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 私はこれではなくて、ノイズキャンセリングイヤホンを使っています。

どちらも周囲のノイズを消して、必要な音を拾いやすくしてくれるものですね。

こんな道具をうまく利用しながら、どうにか生活しています。

 

長男にも、私と同じような感覚過敏があります。

音楽の授業は受けられないし、集会などマイクを使う場所では、イヤーマフを使います。

長男は私が使っているものよりさらに遮音性が高いものを使っています。

 

3M 防音 イヤーマフ JIS適合品 PELTOR ヘッドバンド式 H10A

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 運動会は、音の洪水ですよね。

放送は鳴りっぱなしだし、応援の鳴り物、笛の音、ざわざわした声、飛び交う怒声。

それに加えて。

長男は予測のつかないできごとが、発達障害特性上、苦手です。

いつも同じであることが、彼にとって一番安心できるのです。

運動会は予測できないトラブルだらけ。運動会自体が、いつもと違う事でもありますよね。

例えば、突然先生が大声を出したとしたら。

聴覚過敏で苦手な怒声を、予定外に出されてしまったということで、パニックになってしまうのです。

これは本人が我慢できることではありません。

我慢できるレベルのストレスなら、無意識に腕を動かなくしたりするわけないんです。

慣れることもありません。

慣れるものなら、どれだけ辛くても訓練します。

それで普通の生活ができるようになるなら。

私たちはなぜ障害者なのか。

健常者にとって何でもないことが、私たちにとっては越えようがないバリアだから。

車椅子ユーザーにとって段差がバリアの一つでであるならば、私たち発達障害者にとっては音や光や予測できないできごとがバリアになりうるのです。

長男は本当は運動会に出たいんです。かけっこやリレーで一番になりたい。

でも、その場にいることができません。

毎年、そんな葛藤が彼を苦しめてきました。

そして解離してしまったり。身体に症状が出たり。

苦しい気持ちを周囲に伝える術を持たない彼は、そんな形で苦しさを表出しているのです。

 

毎年、運動会の時期になると、ツイッターで悩ましい保護者の呟きを見かけます。

発達障害特性をもつお子さんが運動会を嫌がっているのに学校側の理解が得られないと。

確かに、特性がない人が、特性を感覚で理解するのは不可能でしょう。

ならばせめて、想像して欲しいのです。

その子の小さな胸の内にある葛藤を。

できることなら、みんなと同じにしたいのに、自らを守るために一人違うことをする決断をした勇気を。

何故、そうしたいと言っているのか。

想像してほしいのです。

そして、うまく折り合ってほしいと思います。

運動会をお休みにすることも一つの方法ですが。

例えば、出られそうな競技だけ参加してみるとか。

そうする為にはどうすればいいか。どんな配慮が必要か。

それこそ保護者と学校側が検討を重ねる必要があると思います。

せっかくの運動会、その子にとって少しでも良い経験になるように。

お休みすることを選んだとしても、その英断を大人たちが讃えてあげられたら素敵だなと思います。

それだけで、辛い気持ちが晴れて、良い思い出になってくれると思うので。