フミログ

発達障害、知的障害のことから日々の生活のことまで。

こだわりとの戦い〜お弁当編

独身で会社勤めをしていた頃は、毎朝お弁当を作って通勤していました。

お昼に質素なお弁当をつつく私に、年配の男性の同僚達は弁当がいいなあ、自分も弁当が食べたいなあと。
大した弁当じゃないし、お金がないから作ってるだけだという私に、彼等は弁当が一番いいと。
彼等曰く、自前の弁当の良い所は考えなくて良いことだと。
忙しい仕事の合間の昼休憩、何を食べようか考えるのは正直な所、煩わしいです。
自前のお弁当だと考える必要はないですよね。
もう一つは、自作弁当だと飽きないと。
出前をとるのもお弁当を頼むのもコンビニも、すぐに飽きてしまいます。
食べに出る程の時間も気力もありません。
新人社員に課せられた大事な仕事の一つに、美味しい出前の店をみつけてくることというのがある位に、皆毎日の昼食に飽きていました。
あとは食べやすさ。
仕事が忙しいと、昼休憩をきちんととれないことがあります。
自前の弁当なら、好きなもの、食べやすいものを詰めておけば、飽きる事もなく、時間がなくてもさっと広げて食べる事ができます。
彼等の話を聞きながら、弁当というものは
①時間がなくても仕事の事で頭が一杯でも食欲がなくても、仕事しながらでも食べられる食べやすさ。
②食べれば美味しいとわかっているいつもの味の安心感。
この二つが大事なんだな、というのがわかりました。
 
時は流れて。
現在の私はほぼ毎日、家族の誰かの為にお弁当を作っています。
発達障害特性を持つ我が家の家族、お弁当も何でもいいわけではないようです。
 
まずは発達障害特性上、強いこだわりを持つ旦那。
なんかイヤ、という五文字のクレームを訴えられ、何が嫌なの?と聞くと応えられないという、禅問答の様なやり取りを繰り返しました。
こだわりからの不快感なので、本人にも何が嫌なのかよくわからないのです。
長年のバトルの末に出た結論は。
①お弁当箱は二段重ねではなく、全体が見通せて手に持って食べやすい一段のもので。
②おかずは卵焼きとウインナーの他二品、計四品以上入れない事。
③ご飯は多めに。
④一目見て味が想像できないものは入れない。
⑤残り物のおかずは入れない。
この条件を満たせば、クレームが出ない事がわかりました。
卵焼きは手作り、ウインナーは彼の好みのものを入れておけば、あとはチンするだけの冷凍食品でもOKです。
長い事私は、旦那のこだわりはおかずにあるのだと思っていました。
手のこんだおかずを詰めることを望まれているのだと勝手に思っていたのです。
そうではなくて、旦那はお弁当箱のフタを開ける前から何が入ってるか想像できる、つまり見通しが立てられる安心感が欲しかったのです。
その事に気が付いて、上記の条件を満たしたものを詰めるようにすると、文句を言わなくなりました。
何だ、簡単だったんじゃない、と力が抜ける様な思いでした。

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長男の場合は量とご飯の温度でした。
長男は少食なのに、こだわりからのこすのを嫌がり、無理に完食しようとします。
でも、彼の要望通りだと、本当に小さなお弁当箱になってしまいます。
痩せた長男はしっかり食べなければ体力が保ちません。
どうすれば食べられるか色々試行錯誤の結果、彼の場合はランチジャーの温かいご飯で、おかず多めのご飯少なめにすればある程度の量が食べられる事がわかりました。

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次男は旦那と同じ特性を持っていて、お弁当箱が分かれていると食べにくいようで、一段のお弁当箱にすれば食べやすいとの事でした。
全体が視野の中に収まり、見通せる事が彼にとっても大事な事であるようです。 
味覚に過敏がある次男はご飯にふりかけなどがかかってないことも大事でした。

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TwitterのTLで、また保護者同士の雑談の中で、お弁当が大変だという話をたまに聞きます。
お弁当に求めるものは、その人の性格やこだわりや好みで違ってくると思います。
凝ったお弁当でなくても、実はこういうものを作って欲しかったんだというツボがわかって、シンプルに考えられれば少しはハードルが下がるのではないかと思います。
 
一番しんどいのは、前日、明日の朝早起きして作らければいけないというプレッシャーなのではないでしょうか。
私はそうです。
自分で自分のハードルを上げてしまうのですよね。
でも、食べる方は難しいことは何も考えずにお弁当を広げているのだと思います。
作る方も難しく考えずに取り組めると楽になるのではないかと思うのですが。
 
しょうもないお弁当画像を晒していますが、私が作っているのはこんな感じの、全然力が入ってないものです。
作る時間はだいたい20分くらい。
この食べやすさが、彼らには好評です。
私のお弁当画像で、勇気が出る方が一人でもいらっしゃれば幸いに存じます。
今は便利な食材がたくさん売られています。
冷凍やレトルトも賢く使って、気軽にお弁当作りにチャレンジされてはいかがかなと思います。
 
最後になりますが、試合を家族で見に行った時のお弁当の写真も、恥をしのんで置いておきますね。
運動会弁当とは少し違いますが、こんなレベルなんだと皆さんが元気になってくだされば良いなと思います。

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9月1日を前に


「図書館に居る子を見逃せない」と思った方へ - スズコ、考える。

最近、Twitterで9月1日に学校へ行くのが辛いなら図書館へ行こう、という呟きを多く見かけます。

我が家にも、不登校の子が居ます。
現在17歳、特別支援学校高等部二年生の長男は、小学校の頃から毎年、11月に入ると調子を崩しはじめ、徐々に一人で居られない状態になります。
そして学校に行けないだけでなく、家から出られなくなります。
発達障害の二次障害が、長男を外に出られないようにしてしまうのです。
ここ数年は入院する様にもなりました。
入院期間は徐々に長くなっています。

長男に、学校に行けない時に図書館に行く?と聞いてみました。
長男は行かない、ときっぱりと言いました。
行かないの?どこにも行きたくないから?と聞くと、いや、そうじゃないよ、図書館に行くんじゃなくて、自転車に乗りたい、と応えました。

長男は自転車が大好きです。
学校も大好きです。
学校に行けないなら、自分の好きな事がしたいのだそうです。
長男は、車と自転車が大好きです。小学校の頃からやっている水泳を頑張っています。
学校にも行けず、外にも出られなくなる長男を支えているのは、彼自身が好きな事、頑張っている事なのだと思います。

本が好きなら、図書館に行けばいいと思います。
自転車が好きなら、自転車に乗ればいいと。
水泳が好きなら、泳げばいいと思います。
好きな事があるならば。
では、ない場合はどうすればいいでしょうか?

考えても応えは見つかりません。
好きな事があれば、学校へ行けなくても、好きな事をする為に外に出ます。
でも、ない場合は、家から出る用事が無くなりますよね。

好きな事って大事だなあと本当に思うのです。 
知的重度の療育手帳を持ち、読み書き困難の特性を持つ長男は、学習機会を十分に得ることができませんでした。
コミュニケーション能力だけが飛び抜けて高い彼は、笑顔で車と自転車が好きで、水泳ができて良かったと言います。
親として、救われます。
元気になったらまた思いっきり好きな事をする、という気持ちが、長男の辛い冬場を乗り越える糧になっているのだと思います。

学校に行けない時期が過ぎて、いざ登校という時になっても、いつも体力的に適応するのが厳しいです。
そこで今年は退院してから、地道なチャレンジをしてみました。
去年まで、不登校期間は休憩とみなして、生活のペースも本人の好きなようにさせていました。
けれど、今年は私が軽いノルマを長男に与えてみました。
元々、食器洗いや掃除等の家事はよく手伝ってくれます。
それを余程具合が悪くない限り毎日きちんとする様に強制しました。

もう一つは毎朝のウォーキングです。
朝起きてすぐに20分程近所を歩くように言いました。
雨の日も傘をさして行かせました。
一週間程過ぎたあたりから、自分から歩きに行ってくる、と言って行くようになりました。
雨でも傘を持って歩きます。
ウォーキングは、本人にもはっきりわかるくらいに効果が現れたそうです。
日に日に体が軽くなって行ったそうです。
ウォーキングと合わせて、ipadのアプリを使って7分間のストレッチもノルマにしました。

ipadの勉強アプリを使って、毎日30分学習する事もノルマにしました。
何のアプリをするかは本人に任せたのですが、ほとんどローマ字入力のアプリをやっていた様です。
そのせいかどうかはわかりませんが、登校した際に担任から、ローマ字入力がとても早くなったとほめられたそうです。
ipadを使いこなす為に、生活の中でわからない事は細かく検索する事も言い続けました。
ローマ字入力が早くなったのは、検索を自分でする様になったからかも知れません。

朝は遅くとも7時までに起きて、夜は10時には寝るようにしました。
昼寝はできるだけしない様に。
食事は食べられる時に食べていいことにしました。

ノルマを作ってから、長男の顔色がみるみる良くなりました。
身体を動かして規則正しい生活をするのは大事な事なのですね。
改めて実感しました。
けれど。
忘れてはならないのは、学校に行けない時は、休まなくてはならない期間であるということです。
ノルマを作るなら、本人の負担にならないレベルにしなければなりません。
しっかり身体を休められる事が大前提です。

そして周囲の理解を得ること。
長男は学校に行けない時期に自転車で近所を走っていたら、警察官に学校は?と声をかけられたそうです。
今は行けてません、と応えると、そう、気を付けてね、と言われて終わったそうです。
普通だったら考えられない対応ですよね。
長男には普段から、何かあったら療育手帳を出して周囲の人に助けを求める様に伝えています。
交番には時々道を尋ねる為に顔を出していたので、地域の警察官の方は長男の顔を覚えてくれています。
だからこういった対応になったのだと思います。
以前から、主治医から何かあった時の為に交番には挨拶に行く様に、と言われていました。
不登校中に無駄に補導されて心の傷を増やす前に、そういった配慮を求めてもいいかも知れません。

発達障害児は、とても刺激に弱いです。
脳の、余計な刺激をカットするフィルター機能が生まれつき無いからです。
生まれつき無いのだから、どれだけ時間がたっても環境に慣れて平気になる事はありません。
学校は様々な刺激に溢れています。
音や色彩、文字情報、喋り続ける先生や友達、突然変わる予定、動きが予測できない子供達、エアコン無しの窓を開け放った明るすぎる教室。
どれも、発達障害児にとっては耐え難い刺激です。
それらの刺激は、時に彼らの集中力を奪い、苦痛を与えます。
学校が嫌いなわけでは無いのに、彼らはそこに居ることが難しいのです。

今日は何だか体調が悪い、今日学校に行ったら先生の大きな声が絶対頭に刺さる…。
音が頭に刺さるのは辛いです。耳を塞ぎたくなります。
そんな風に登校中にふと思ってしまったら。
逃げ出したくなります。
今日一日、刺激の洪水の中でパニックにならないように頑張らなければならない、いつも頑張ってるけど、今日はもっと頑張らなければならない。
発達障害が無い方には、この感覚は中々ご理解いただけないようなのです。
一部の先生方はそれを我儘、我慢が足りないと捉えて無理に活動に参加させようとされるのだとか。
大声で叱りながら。
お子さんでは、脳機能について説明することはもちろん難しいでしょうし、自分の状態を言語化する事も十分にできません。
そんな時、私達が子供達にできる指導は、回避する事です。
逃げる事ですね。
これは専門家に相談してもそのように指導される、きちんとした対応です。
刺激に弱い子供達には、パニックを起こす前にクールダウンする為の逃げ場が必要です。
そうしなければ、どんどん追い詰められてしまいます。

新学期を前に、また刺激の洪水に晒される事に恐怖を覚えている発達障害児のことを思います。
お友達が嫌いなわけじゃ無いのに、何故か教室に居るだけでどんどん疲れて、気分が悪くなってしまう…。
いや、ひょっとしたら大丈夫かも知れない、大人が言うように、学校に行けば慣れるかも知れない。
そう思って勇気を出して登校している朝、嫌いなわけでは無いお友達の声が聴覚を鋭く刺激してしまったら。
逃げ出したくなる時もあります。
そんな気持ちを受け止めて、ほんの少しの間だけ、落ち着きを取り戻す為のクールダウンエリアとして機能してくれる場所が図書館だったら、素敵だなあと思いました。
そんな場所があったら、長男も今の様にはならなかったかも知れません。

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どうしても辛い時は逃げる事も一つの手段である。
好きな事があれば学校に行けなくても自信を失わずに生きていける。

9月1日を前に、この2つを、ここに置いておきたいと思います。







ADHDは生活習慣病になりやすい

今年の3月に、年に一度の健康診断を受けました。

その時に、血圧が159/98。
まあ様子をみましょうということになりました。
そして6月頃だったでしょうか。
公共施設に備え付けの血圧計で測ってみたら、上が170超え、下は90超えでした。
これはまずいのではないかな…。
心配になって、定期的に通って薬を出してもらっている精神科の主治医に相談してみた所、とりあえず減塩してみようということになりました。
我が家の食事は、元々薄味だと思います。
子供達は学校の給食が味が濃いといつも言っています。
うちの方が薄味だと。
それをさらに減塩して、ほうれん草やアボカドをたくさん食べました。
カリウムを多めにとって、塩分を排出する作戦です。
同時に、血圧計を購入して、朝晩の血圧を測りました。
できるだけの事はやってみましたが、血圧は下がるどころか上がっていき、最高値は180/110をマークしました。
日によって変動はありますが、下が100を下らない様になってしまいました。
精神科の主治医から、内科を受診するように言われ、すぐに血圧の記録を持ってかかりつけの内科を受診しました。
 
内科では、とりあえず投薬して血圧を下げましょう、と言われました。
そして少しずつ検査をしてみましょうと。
 
その事を精神科の主治医に報告すると、主治医も薬でとりあえず下げるのがいいと思う、と言われました。
私は、発達障害の二次障害として鬱を発症しています。
鬱病で血圧が急上昇する事があるのだそうです。
その場合、鬱が治まっても血圧は下がらないのだと。
あなたはそのケースなのだと思うと。
おそらくは薬を使わないと下がらないだろうと思う、と言われました。
少しショックでした。
鬱で高血圧にまでなってしまうとは。
 
主治医はゆっくりと説明を重ねてくれました。
私は、鬱を発症してから体重が10キロ単位で短期間に増減しています。
眠剤を飲んでも眠れない事もよくあります。
血圧も、太るのも痩せるのも、夜眠れないのも、私の場合は鬱が原因だと思うと。
私のケースでは、おそらく減塩したりダイエットしても効果が無いと。
一番しなければいけないのは、鬱を治すことと、鬱にならない様にする事だと。
食事制限やダイエットを頑張るのではなく、リラックスして自分に負担をかけない様にする事を気を付けた方がいいと。
主治医は優しく語りかけるように説明してくれました。
 
思えば、体重が激しく増減した時も、高血圧がわかった時も、私は精神科の薬の影響を疑って、主治医にストレートに質問しました。
薬の影響はありますか?と。
私は、自分に鬱の症状がでていて、鬱を再発している自覚はありませんでした。
主治医はうーん、どうだろうねー、とだけ答えて明言を避けていました。
主治医は私の鬱の症状が治まるまで、あえてショックを受けさせるような事は言わなかったのだと思います。
鬱が出ていることもはっきりとは言われませんでした。
今は鬱の症状が治まって、それこそ血圧を気にする余裕まで出てきたので、このタイミングで体調を整える方向に持っていこうとしてくださったのかなと。
精神科の医師は、時にこの様に患者の事を考えてわかっていても明言を避ける場合があります。
患者のキャパが少なくなっていて受け止められない時や、症状から曲解してしまいそうな時はあえて何も言わず、患者の精神的な準備が整ったタイミングで伝えてくれます。
その事が誤解を呼んでしまう事もあるのかなと、ネットを見ていると思います。
 
主治医は説明を続けてくれました。
ADHDは刺激を求める特性から、塩分や糖分、脂質を過剰にとってしまいがちで、生活習慣病になりやすいのだと。
いい機会だから、そういう事を少し意識しておくといいかもねと。
アルコールはどうでしょう…?と私が恐る恐る聞いてみると、あなたアルコール無いとダメでしょう、できない事は言わない!と怒られました。
程々にね、と。
確かにお酒は好きなので、お酒を止めるように言われたら、楽しみが一つ減ってしまいますね。
 
その後、内科の方では色んな検査を続けています。
血圧以外はほとんど問題が無いようですが、かなり運動不足であると。
一日7000歩を目標に歩いてくださいと内科の医師に言われて、できるだけ毎日歩く様にしています。


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歩いている途中に撮った写真です。
海辺に住んでいるので、こんな風景を眺めながら歩いています。
私は以前からリストバンドタイプの睡眠活動量計で一日の睡眠と活動量を可視化していました。
意識して歩き始めてから3週間程になりますが、食事もきちんととれるようになったし、夜もぐっすり眠れる様になりました。
体力もついてきた様に思います。
ウォーキングは鬱予防に効果があるという説もあるそうですね。
できればこのまま続けていきたいと思っています。
 

私の読み書き困難

もう何年も前の事です。

発達障害児の保護者ばかりが集まってお話をする機会があり、そこでものの見え方について話題になりました。
私は子供の頃、木の壁の節目の模様がうねうね動いて迫ってきたり、チェック柄がすごいスピードで動いて見えて怖かった、という話をしました。
その場に一人だけいた専門家の先生に、これは発達障害の特性なんでしょうか?と聞くと、LDの特性の様に思いますね、と言われました。
 
LDとは、Learning Disorders 学習障害の事です。
DSM-5では、限局性学習症(Specific Learning Disorder)という呼び方に変わったそうです。
Twitterでフォローさせて頂いているなないおさんが先日、この様な記事を公開されました。
私は医師から限局性学習症である、という診断をされているわけではありません。
けれど、なないおさんの記事を拝見して、私も子供の頃から読み書きで苦しい思いをしてきた事が思い出されました。
私も自分の読み書き困難の特性について、書いてみたいと思いました。
 
私は子供の頃、名前を書く欄にどうしても自分の名前を収める事ができませんでした。
小学校低学年では、枠からはみ出して記名する子はたくさんいますよね。
でも、成長するにつれ、皆スッキリと見やすく書き込む事ができるようになります。
私は小学校高学年になっても、中学生になっても、枠の中に収めて書くことができませんでした。
自分の名前だけでなく、テストの答案などは全てそうでした。
どれだけ丁寧に書いても、字が踊る、流れる、はみ出す。
枠内に収めようとすると、今度はものすごく小さな字になってしまいます。
字は丁寧に書きましょう。
いつも赤字で書き込まれていました。
 
もう一つ悩ましかった事。
どうしても漢字が覚えられませんでした。
私の場合、読む事は得意でした。
なのに、書けません。中学生になっても、高校生になっても、そして今も。
小学生レベルの漢字が覚えられません。
子供達の連絡帳を書く時などは、スマホ片手に漢字を検索しながら書いている状態です。
役所の窓口で担当者の目の前で書類を書く時などは、冷や汗ものです。
読めるなら書けるでしょう?
何度も言われたけれど、何で読めたら書けるのかとても不思議でした。
書き取りの練習も、かなり大きくなるまで一生懸命やっていました。
こんなに練習してるのにね…とも言われました。
 
書くことは大嫌いでした。
テストの点数は記述式かマークシートの選択式かで大きく点数が違いました。
 
読むことも困難があった様です。
苦手だったのが、黒板を書き写す事です。
黒板を見て、ノートに視線を移す間に何が書いてあったかを忘れてしまいます。
ADHD特性の一つ、短期記憶の弱さですね。
なので単語一つずつ、ひどい時は一文字一文字書き写します。
とてもついていけません。
ノートをとる事に必死で、授業を聞く余裕などありませんでした。
聞くことか書くこと、どちらか片方ならどうにかできました。
でも、両方はとてもついていけませんでした。
 
成長するにつれ、読むことも書くことも、子供の頃よりはできる様になりました。
でも今も、困難さはある様です。
それ自体が特性だと、最近になって気付いた事もあります。
 
例えば、本を読んでいて、改行が上手くできなかったり。
同じ行を何度も読んでいたりするんですね。
ページをめくった途端に、前のページに書いてある事が頭の中から消えてしまったり。
読んでいる時に全然違う映像が頭に浮かんで、文章の内容が頭に入らなかったりします。
 
私はどうも、横書きの文章が苦手な様で。
横書きだと、文字がただの記号の羅列の様に見えてしまう事がよくあります。
何回読んでも、何が書いてあるのかわかりません。
何度も何度も読み返して、頭の中で音声変換してようやく読む事ができます。
でも、せっかく読めたのに、ページをめくった途端に忘れてしまったり。
 
画数の多い漢字だと膨らんで見えて、隣の平仮名が隠れてしまう事もあります。
文字が全て同じ大きさに見えてないのかもしれません。
行が波打って見えたり、滲んで見えたり。
めまいを起こしている様な感覚を覚えます。
縦書きだと、この様な事はほとんどありません。
 
縦書きでも、真っ白い紙に黒字で印字されていると、チカチカと眩しくて読みづらい時があります。
点滅している様な感じでしょうか。
 
どうも、計算にも困難がある様で。
簡単なお釣りの計算や、割引の暗算ができません。
割り算も難しいです。
いつも子供達に呆れられてしまいます。
 
自分は知的障害ではないかとずっと思っていたのですが、知能検査の結果は知的障害ではなく、凸凹の激しい発達障害でした。
 
スマホタブレットは、とても強い味方です。
私はADHDで記憶が弱いのに、書字が苦手で、メモを取る事ができませんでした。
スマホがあればメモアプリで簡単にメモをとる事ができます。
撮影して保存する事もできます。
 
電子版の本も、紙の本より読みやすい事に気が付きました。
コントラストの問題でしょうか?チカチカしないのです。
最近は本はできるだけ電子版で読む様にしています。
 
工夫すれば読みやすくなる事もあります。
カラーマーカーでラインを引けば、頭に入りやすくなります。
学生の頃はそれで乗り切っていました。
私が読みやすい色は黄色か緑です。
定規を当てて読むのもよくやっていました。改行が上手くいくし、文字が動くのも防げます。
 
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最近では、この様なものも使い始めました。
なないおさんの記事でも紹介されていた、カラーバールーペです。
私は15センチのものを使っています。
これを使うと、とても読みやすいです。
 
マルチメディアDAISYは、一度講演を聞きに行って、サンプルを拝見しました。
音声と共に文字が着色され、するすると頭に入ってきて驚愕でした。
一度読めたものは、二度目に読むとかなり読みやすくなります。
教科書など、最初に読むときだけでもマルチメディアDAISYで読めたら、負担が減るのではないかと思います。
 
自分が発達障害だとわかった時に、若い時に診断されていたら…と思う事はありました。
この読み書き困難については、特に強く思います。
何で書けないんだろう。
何で読むのにこんなに苦労するんだろう。
ずっと思い続けてきました。
どうか、教室の中で読み書き困難の為に学習機会を失っているお子さんに、支援の手が届きます様に。
工夫すれば乗り切れる事に、周囲の方が気付いてくださる様に。
どうか、どうか。
劣等感の中で自分が嫌いになってしまわない様に。
保護者の方や先生方が一刻も早く気付いてくださる様に。
心から、祈ります。

 

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就労Aでランチしてきました

昨日チラッと書きましたが、次男の支援級の親子で就労Aのビュッフェでランチしてきました。
場所は都会のマリーナの中にあるカフェ。ロケーションは上々でした。
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開店前に私達のグループだけ入店し、施設長さんやスタッフのお話を伺いました。
中でも発達障害を持つという20歳の女性のお話にとても感動しました。
彼女はここで働くまでいくつか職場を転々とし、辛い思いをされたそうです。
このA型就労のカフェに来て、始めて丁寧に仕事を教わり、優しくしてもらえたと。
マイクを持ったまま大きな瞳からポロポロと涙を流しながら、それでも一生懸命話そうとする姿が愛おしくて。
発達障害を持つ若い彼女が、自らの痛みをあらわに伝えようとする勇敢な姿に心から拍手を送りました。
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食事はビュッフェスタイルで食べ放題。
中学生達は我先にと並びますが、私達保護者も負けていられません。
できるだけたくさんの種類を食べられる様に少しずつ取って、食べたかったものはほぼ制覇できました。
とても美味しかったです。
美味しく食べられるって幸せだなあと実感。
支援級の保護者の皆さんとの濃い内容のおしゃべりも充実して、とても楽しい一時を過ごす事ができました。
厨房も見せていただいたのですが、なるほどな…と納得できました。
一人一人が一つの作業を与えられ、集中して取り組んでいました。
立ち仕事ですが、動いている人があまり目立ちません。
皆さん忙しく働いているのに、人と人とが重ならない様にきちんと動線が整えられているのです。
ランチタイムの厨房なのに怒声も飛びません。たくさんの張り紙が壁面に貼ってあり、可視化が意識してされているのではないかと思いました。
支援学校からの現場実習の子が一人いました。
案内のスタッフから呼ばれてきたその男の子は、突然の事なのに私達に笑顔で仕事の事を話してくれました。
2週間の実習は今日で終わりなのだと。
毎日片道1時間以上かけて通勤したのだと話すスタッフの横で、笑顔で仕事は楽しかったと語る彼の姿に、迷える保護者として元気をもらいました。
今までいくつかのA型就労施設を見学してきましたが、これほど職場として充実した所は無かった様に思います。
美味しいお料理と広く清潔な店内に、海辺の上々のロケーション。
応援したいので、是非また食事に来たいと思いました。

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今日も日暮れ前に浜辺を歩きました。
時間が無かったので、お散歩のペースでは無くきちんとウォークしました。
私は海が苦手だとずっと思っていたのですが、今日が終わっていく海を眺めながら、この風景に愛着を感じているのかも知れないなと思いました。

趣味のことなど


前の更新から一ヶ月以上も開いてしまいました。
少し調子を崩してしまい、余裕が無かったのですが、最近、少しずつ動ける様になってきました。

最近は子供達の事より、自分の事に焦点を絞って行動しています。

高血圧になってしまったので、内科の薬を飲み始めました。
最高で183/110という数値をマークしてしまい、とりあえず投薬という事になりました。
服薬し始めて3週間ほどになりますが、少しずつ下がってきました。基準値内に収まる日もあります。


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今日の活動量です。
私は睡眠が上手くとれないので、リストバンドタイプの活動量計で睡眠と一日の活動量を可視化していました。
内科医から一日7000歩を目標に歩くように指示されたので、マイペースでお散歩し始めました。
活動量計でずっと記録していたので、ここ最近の活動量の変化を見ることができて、少しずつモチベーションに繋がっているようです。
ここ一週間程は目標達成できています。
このまま継続できれば良いのですが。

私はいくつか趣味があるのですが、ここ1〜2年は何もできていませんでした。
先日、次男の支援級で就労Aの見学を兼ねて食事をする機会があったのですが、そこに自分で縫った服を着て行きたいと思いました。
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久しぶりに生地にはさみをいれました。
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前見頃とヨークを縫い合わせたところ。
ギャザー寄せは苦手です。
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袖の見返し。バイアステープで処理します。

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見苦しい写真で失礼します。無事完成したので翌日着て行きました。
トータル5時間位かかってしまいました。

時間はかかりましたが、一つ一つ丁寧に作業を進めて一つのものを作り上げる作業は、とても充実感があって楽しかったです。
こんな風に頭をカラにして何かに没頭する時間が、私には必要なのだと改めて思いました。
何もしないでいると、不毛な思考のループにはまってぐるぐる考えるだけで何も前進しません。
ぐるぐる思考にはまったら、一旦全てを棚上げして頭の中をスッキリさせるのが大事ですね。

マイペースを忘れないように。自分が好きなもの、好きなことが何だったか、忘れてしまわないように。
好きなことを楽しむのに要らぬ罪悪感を持たないように。
自分を自由にしてやりたいと思います。

こんな風に思えるのは、夏休みで余裕があるからなのかも知れませんね。
新学期が始まると、また子供達のことで余裕無く動き回る日々が始まるのでしょうね。
お休みの間に、もう少し自分の好きなことをしたいなと思っています。


長男の就労Aでの現場実習が終わりました

去年の春に見学に行き、その後長男を連れて本人に見学をさせたらとても気に入った事業所が見つかったので、2月に現場実習に入る予定でした。
直前で長男の二次障害が悪化し、入院。実習はこちらからお断りしました。
この時はもうダメだろうな、とかなり沈んだ気持ちになりました。
現場実習はこちらからお願いしてさせていただくもの、それをこちらからお断りするなんて。
その事業所は我が家から電車一本で行ける所でした。混雑する方向とは逆向きなので、座る事もできました。我が家から最寄り駅まで徒歩10分、事業所の最寄り駅から事業所まで徒歩10分。どちらにもセブンイレブンが隣接しています。仕事内容、職場の雰囲気が気に入ったのに加えて、通勤の環境も理想的でした。
中々こんな好条件は見つからないよなあと。
けれど、また申し込みをする事ができました。
進路専科の先生がきちんとお話してくださったのは大きいと思います。それに加えて、その事業所の利用者は主に知的障害者ではなく、精神障害者であるということなんですね。
体調を崩して長期欠席する人も、毎日出勤できない人も時短勤務の方もいらっしゃるのだそうです。
夜道に灯火が灯った様な気分でした。

仕切り直しという事で、先月に実習面接を受けて現場実習に入る事になりました。
学校の実習期間は2週間ですが、2週間の現場実習など今の長男の状態ではとても耐えられません。
期間中、3日間だけ入らせていただく事になりました。
9時半からから14時半までの勤務だったのですが、初日に帰宅した後、本人がきつい、午前中だけにして欲しいというので、その後は午前中だけにしてもらいました。
これは甘えているのではありません。二次障害を抱えながら就労するなら、自分の状態を把握するのはとても大事な事です。無理をすればまた入院に逆戻り。いつもは頑張りすぎてしまう長男が仕事を減らして欲しいと言えた事を評価しました。

実習最後の日に保護者、担任、担当者で反省会をしました。
どんな評価を受けるのか不安でしたが、とても高い評価をいただきました。
指示理解、コミュニケーション、作業内容、作業への集中など全く問題無く、なんなら明日から働いてもらってもいいですよ(真顔)とまで言われました。
特に担当者が繰り返し言っていたのが、挨拶が良いと。朝出勤したら、作業場へ行く前に事務所に顔を出しておはようございます、今日もよろしくお願いします、と言ってから作業場へ向かうのだと。
そんな行動、誰も教えてないんですよね。
おそらくは長くやっている水泳の合宿や支援学校で繰り返し行った挨拶訓練で身に付いたものかなと。
支援学校での挨拶、面談訓練はお願いしてやってもらっていた事で、通常のカリキュラムにはありません。実際にその訓練がこうしていきてくる事は本人の自信にも繋がったと思います。

就労継続支援は、一般企業での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものです。A型の場合は、原則として事業所と雇用契約を結んでの利用となります。雇用保険に加入するので、最低週20時間の労働を求められます。最低賃金になりますが、時給も頂けます。
福祉サービスですので、役所の窓口に申請して支給決定を受ける必要があります。
支援学校高等部の生徒の保護者は、我が子の就労のためにこうした事業所(就労継続支援A、就労移行支援、特例子会社など)を何カ所も見学に回ります。
保護者が見学済みの所でなければ、学校は紹介してくれません。選択肢を増やす為には、より多くの事業所を見学してまわるしかないのですね。福祉事業所の開所時間は平日の昼間ですので、その時間にしか動けません。
長男の支援学校では、保護者見学→本人と保護者見学→実習面接(保護者、本人、担任)→実習初日挨拶(本人はもちろん、保護者、担任)→実習参観(保護者、担任)→反省会(本人、保護者、担任)という流れになります。実習の期間は最長で1ヶ月程だと聞いています。
長男の支援学校での現場実習は、3年生で前期後期の2回はあります。でも実際は2回では足りないので、皆さんもっと入らせて欲しいと希望されます。在学中に何度も同じ事業所で実習を受けて、慣れてから就労という形をとりたいからです。
受検を受けて入学する高等部のみの軽度知的障害児を対象とした特別支援学校の場合、この現場実習が3年間で7回程あるそうです。

障害児が福祉サービス事業所等へ入所する為の就職活動は、保護者への負担がとても大きいです。何故こんなに保護者の出番が多いのかといえば、家族の協力がないと就労を継続する事が難しいので、在学時に協力できる環境であるかを見極める必要があるから、と言われました。
フルタイムで働いていらっしゃる保護者の方は、まず平日休めなければ不可能ですよね。平日休めたとしても、休みの全てを活動に費やす様になってしまいます。
保護者が動かなければ、学校側は事業所を紹介してくれないのだそうです。逆に積極的に活動する保護者には、選べるくらい紹介してもらえます。
高等部の3年生の保護者が仕事を休職、あるいは退職されるのをいくつも見てきました。
ここまで頑張ってきたのに。
障害児を学校に通わせながら仕事をするというのは一般的に想像されるより大変です。今でこそ児童デイサービスがありますが、なかった頃は身内を頼ったりヘルパーさんや日中一時支援でどうにか回している様な状態でした。病気や精神的不調で学校をお休みする事も一般のお子さんより多いです。
私も働いている頃は時間に追われながら送り迎えや通院、療育でヘトヘトでした。
そんな中、高等部まで頑張って仕事を続けてきたのに、就労という壁で仕事を諦めざるを得ないというのが何とも悔しくて。
どうにかならないのかなとは思いますが、雇用側、学校側は継続して就労する為には家族の協力が不可欠であるという考えなので保護者側は何も言えません。子供の就労継続の為に保護者が仕事を諦めるというのは本末転倒の様な気がするのですが。

私ももっとたくさんの事業所を見学する様に担任から言われています。主治医からは今考えている就労とは違った形も提案されています。
明日は朝一から電話問い合わせをするつもりです。